2014年6月11日水曜日

UMPビグマリオン事件が サルコジとその一派の再来を喜ばない空気を準備


ビグマリオン事件が起こってからUMP党内の会員は激減し2012年当時からみても、すでに半数以下になっている。UMPの危機というのはこれだ。ビグマリオン事件が、UMP会員にサルコジとその一派の再来を喜ばない空気を準備している。2012年のサルコジの大統領選挙では運動費が上限を越えていて、憲法審議会からは国の返済を民運動連合(UMP)に許可しなかった。このことでUMP党員を中心に呼びかけて2013年6月に募金を行なった。これがサルコトンだ。しかしビグマリオン(Bygmalion)事件が5月26日に暴露されてからはサルコジのUMP党は運動資金を水増ししたり架空の講演会での出費を違法計上した清算書をつくっていたことがわかった。これはフランスの税金がサルコジの選挙運動に支払われていたことだ。
 UMP党員は、UMPの幹部が彼らの友人達を太らせている間に、サルコのための募金をやらさられていた。我々は騙されていた感じだといっている。サルコジはビグマリオン事件には一切自分は関係ないといっていたが、この事件は自分の選挙運動費の不正があったことなのだから、自分の誤りを認めなければならないと今では手のひらを返すような意見が続出している。

このビグマリオン事件は余りフランスの保守系メディアでは抑えて報道してきたしサルコジを2017年の大統領候補にプリメール(党内大統領候補選挙)を必要とせずに出すことを正当視する偏重が目だった。今はこれを言わないと逆に批判されるわけで、これまた手のひらを返すような報道ぶりになってきた。

 ビグマリオン事件は内部告発から始まった。サルコジにまつわるベッタンクール事件、リビヤ事件、カラチ事件など多くの疑惑があるが、それらでメスが入った初めてのものである。コッペUMP議長が辞任し、分裂を目の前にUMPは震撼している。サルコジやその一派の再来を喜ばない党員も多くなっている。

UMP党員はまだ残ってはいるが彼らは党の名前を変えるべきだとかの憶測が流れていて不安は隠せない。今後のさらなる雪崩れ的な離党が予想されている。

10日午後、とりあえずジュッペ元首相、ラファラン元首相、フィヨン元首相らが集会して、3元首相による暫定的集団指導体制の下で、UMP書記長にはコッペ元議長直属のリュック・シャテル元教育相が任命された。ジュッペ元首相とフィヨン元首相とはシャテル氏と対立していて、こでもUMP内部の分裂のしこりが残ってしまった。サルコジはプリメールを希望していないので秋の党大会に向って国民運動連合(UMP)の内外から大きな波乱が予想される。

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