2012年1月1日日曜日

先ず話し出してから学ぶ「tobita式フランス語」(2)


日本語とはどういう言語なのか?

日本語がテニヲハ言語であることを十分に理解すること。そしてその日本語の柔軟な表現能力の全てではなくて、フランス語ではその内の唯一つの回路しか通じない単純な構成の言葉であることを知るべきだ。

つまりS(主語)+V(動詞)+O(目的語)+C(状況補語)で話される回路をそのままの順番で日本語に置き換えることで、即座にフランス語が話せることになるということだ。

後は順番に日本語の単語をフランス語の単語で発音すれば、それで立派なフランス語になる。


練習(1): 

次の10個の文章表現は同じ内容を言っている日本文だが、この中にはフランス語の構造で表現しているものは一つしかない。その他の例はすべて日本語では通じてもフランス語としては通じない。それは、単語がS(主語)+V(動詞)+O(目的語)+C(状況補語))の順番に並んでいないからだ。


1)行きます、私は、明日、パリへ。

2)私は、行きます、パリへ、明日。

3)私は、パリへ、行きます、明日。

4)明日、パリへ、行きます、私は。

5)私は、行きます、明日、パリへ。

6)明日、私は、行きます、パリへ。

7)パリへ、私は、行きます、明日。

8)パリへ、行きます、私は、明日。

9)明日、行きます、私は、パリへ。

10)行きます、パリへ、私は、明日。


以上のどの語彙の順序を使ってでも日本語では通じてしまう。それが、外国語を学ぶ時の日本人の大きな障害になっていることを知るべきだ。

日本人の言語思考があらゆる順序、つまり、(S(主語)+V(動詞)+O(目的語)+C(状況補語)の順番に全く関係なく理解できるテニヲハ言語によって成立しているからなのである。

場合によっては母親と子供の会話などの場合には、上の例文に加えて次のような文章でも理解するのに十分であることがいえる。

11)(お母さん)パリへ、行ってくるよ。

12)パリへ、明日。

13)行くよ、明日。

14)明日。


このようなバリエーションを持った表現が実際の言語使用上で日常化している日本人は、外国語を学ぶ場合にはこの日本語の自由さが手伝って、逆にはなはだしく障害になってくるわけだ。それはフランス人の言語思考の形態とは全く異なっている為である。

日本語はそのような幾つもの表現の伝達回路を持っているのだが、その中にはフランス語の構造言語で話す回路も実は知らずに意識しないで使用していることもあることを日本の方たちは気がついてないということだ。

ここで、フランス語を学び始める意味からは、S(主語)+V(動詞)+O(目的語)+C(状況補語)の構造言語の順序に従って先ずは日本語で話す訓練を1日10分でもしてみることを勧めたい。


上に掲げてみた14ほどの例文は、それらが全て同じことを言っている文章であることを指摘した。日本語では同じ事を意思伝達するのに幾通りもの表現で話されているのであって、これは実に複雑で疲れる言語だと、私がいったのはこのことなのである。フランス人からすると、日本語では一度に14通りほどの表現の回路を駆使して話したり聞いたりするということは大変に複雑な言語だということになる。

そしてフランス語が単純な言語だと言ったのは、上の例文でわかるように、フランス語では唯1つの言い方しかない言語であるとそいう意味で私は言ったのである。

フランス人が話す言語表現は、上の14の日本語の表現文では、「2)私は、行きます、パリへ、明日。」が、正解となる。他の言い方では全くといっていいほど通じないのだ。

このことを良く理解しないとフランス語は話せない。これを良く理解すれば、すでに日本語を使用している日本人は、フランス語の構造でも話をしていることに気づくはずである。それを意識的に選択して話すことを学べばよいわけだ。


先ずは、多くの選択肢の可能な日本語表現の使用を制限する訓練をすることだ。フランス語が求める構造言語の順番に移し変えた日本語で話せるように頭を訓練することだ。これこそが、日本の外国語教育で忘れられていたものである。

フランス語を習得する場合に、動詞の活用や冠詞の問題など複雑な文法の勉強をする以前にすべきことは日本語を構造言語の順番で話すことが、最後まで残る言語学習の核心であり最重要問題なのである。

上の14)個以上もの日本語の表現回路を、ここでは3つほどの表現に代表させて練習問題を出しておく。(ようするに、ここでの練習のねらいは、日本語を使用している者が、フランス語の言語構造を即座に見分けられるかにある。)



練習(2): 

次の、3つの表現は同じ事を言っている日本文だが、どれがフランス語的か? 

1)明日、日本に、電話します、私は。

2)私は、電話します、日本に、明日。

3)日本に、電話します、私は、明日。




答えは、2)です。




練習(3): 

次の、3つの表現は同じ事を言っている日本文だが、どれがフランス語的か? 


1)明日の朝、コーヒー、私、飲む。

2)私、明日の朝、コーヒー、飲む。

3)私、飲む、コーヒー、明日の朝。




正解は、3)です。




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