2015年12月14日月曜日

COP21合意で 世界はどんな経済の将来を帰結させるのか?

(パリ=飛田正夫 2015/12/14 1:41日本標準時)世界環境会議Cop21の2100年までの地球温暖化の制限目標は2度以内に気候の上昇を留めることであったが、2025年から実現不可能と思われる1.5度の上昇に抑える努力を開始することが合意された。海面下に沈む可能性のある世界の島嶼国家の提案を盛り込んだためである。それ以降は5年毎に見直しをしてゆく。低開発国への援助資金の財源などもまだ不明確ではあり、また違反した場合の処罰なども決められなかったが、今回の合意には人権団体や環境団体も不完全ではあるがとしながらも地球温暖化阻止への大きな第一歩を踏み出したものと評価して、歴史的な世界規模の初の合意を祝福している。



オバマ米大統領も「これは偉業だ」と宣言している。「我々は歴史的な合意となったこの作品を持って家に帰ることができる」とCOP21の議長を務めたロラン・ファビウス仏外相にオーストリアのジュリー・ビショップ大臣は感謝しているとフランスのメディアでは報道されている。

このことで世界経済の型が更に変化しエネルギー産業への投資も温室効果ガスの少ない方向へ変わってゆくものと見られる。2050年には、我々は化石燃料依存度がより少ない産業で、清潔な経済となっている考えられる。エコロジー産業への転換で2030年までには6千万人の雇用が生まれるとされ、新しい部門での雇用が増えると見られる。

温室効果を生むガスの3分の2は石油・石炭・ガスなどの化石エネルギーである。石油エネルギーに依存している国は経済を多方面のエネルギー利用に転換することを急がなければならないだろう。しかし石油は2040年ではまだ75%を占めると国際エネルギー機関(IEA)では見ている。

IEAは、現在のガズオイルと石油の生産が化石エネルギーから製造されているが、その生物燃料は3%なのを、少なくとも10%にして、できれば食料作物からの生産でないものにすべきだと言っている。

仏エコロジストのニコラ・ウロ氏は、我々は手にしているエネルギーに意識的に背を向けることは慣れてないので、技術的というよりは構造的に変革する努力が必要だといっている。

地球の気温上昇を2050年までに2度に収めるためには、化石エネルギーの50%を、再生エネルギーにしなければならない。そのためには4兆8千億円の投資が必要だとIEAでは見ている。電気自動車の発達と共に、公共運輸機関の発達が爆発的に発達することが考えられる。アルミニウム、精錬、石油化学などのエネルギーを大量に消費する産業の完全な転換が望まれる。

温室効果ガスの排出には牧畜が特に指摘されていて、肉の消費文化が問題になってきている。地球の温暖化を制限するには、森林伐採を制限し保護し、集約的農業による土地の悪化を防がなければならない。COP21というのは現在の資本主義経済体系を変化させるのではなくて、その維持のための部門間の調整ということなのだ。

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パリ・ブルージェの世界環境会議Cop21には反対派も大勢集会 原住民や低開発国が抗議http://franettese.blogspot.fr/2015/12/cop21_44.html

パリCOP21合意 島が海に隠れることで地球温暖化制限を1.5度で努力


【参考記事】
http://www.leparisien.fr/environnement/cop21/cop21-ce-que-contient-le-premier-projet-d-accord-mondial-sur-le-climat-de-l-histoire-12-12-2015-5364383.php

http://www.20minutes.fr/planete/1749683-20151213-cop21-accord-historique-sauver-planete-desordre-climatique

http://www.lepoint.fr/dossiers/sciences/cop21-defi-climatique/

http://www.leparisien.fr/flash-actualite-economie/cop21-a-quoi-ressemblera-l-economie-mondiale-de-demain-12-12-2015-5365533.php
http://www.leparisien.fr/flash-actualite-economie/cop21-a-quoi-ressemblera-l-economie-mondiale-de-demain-12-12-2015-5365533.php