2012年2月6日月曜日

ゲアン仏内相、「我々の文明」「自由・平等・博愛」を擁護、イスラムを認める社会党を批判

2月5日、「総ての文明、総ての実践、総ての文化は、我々の共和制の原理から見ると、価値がない」と、クロード・ゲアン仏内相(前エリゼ大統領官邸書記総監)はラジオ・フランス・アンテールで繰り返した。「総ての文明が価値があるのでない」ことを再確認しているという。4日の法学部学生協会(UNI)の組織した討論会での話しでも同様な発言があったらしい。ゲラン内相はそこで、「総ての文明は同じ価値がなく」、「我々の文明を保護しなければならない」と、フランスの文明を擁護して発言した。

ルモンド紙fr.によると、ゲラン氏はイスラムに関して、仏社会党が国会で女性のベール着用禁止に賛成しなかったこと。また、フランスでイスラム教徒が集会所が不足していて路上で礼拝をしていたことを例に取り上げて、社会党の幹部が誰にも迷惑をかけてないとしているが、フランス人におおいに迷惑をかけ、特に政教分離の観点で、我々は(イスラム教徒が)路上で祈ることは禁止しているとして疑問視している。

同氏は、我々フランス人の好む文明があるといっている。我々にとっては総てが価値があるのではないとして社会党に対して再度批判を向け、個人の自由と政治を踏みにじり女性を隷属化する文明が社会党のいう独裁君主を許す文明で、それは我々の文明とは同じ価値なのか?と訓説を垂れている。

ゲラン氏はルモンド紙fr.によると、「彼らは我々の国にその場所はない。無いのはそれは、彼らが外国人だからではなくて、それは特に、人間と女性の尊厳に関し我々の世界観に一致しないと判断するからではない。そうではなくて、左派のイデオロギー相対主義者のいうのとは逆に、我々にとっては総ての文明は同じ価値がないということである」「人間性を守るものがそれを否定する者よりもより進歩的であると思われる」、「自由・平等・博愛を守る者が、我々には独裁君主を受け入れる者よりもより優れていると思われる」などと語り、「我々の文明を守らなければならない」と結論しているという。

このゲラン氏の発言が本当であれば、逆にフランス共和国の人権思想が閉塞的で人類普遍のものとはなり得ないことになってくるわけで、フランス人のみの特殊な文明に留まってしまうのではないかと心配される。つまり、そのような考えからは他文明を低く評価し拒絶し受け入れられないで自己独善化を主張して他を排斥するという限界が指摘されはしないか。

付け加えるとブルターニュ地方で教会内ではなくて、道祖神のようなキリスト教の石碑の前で祈る人々は路上で祈るのであって、これはフランス共和国の価値に反する人々なのであろうか?問題はこうしたキリスト教そのものの他を排除する独善性こそが疑問なのである。


【関連記事】

ゲアン仏内相の世界文明の序列化思想を、ナチズムに比し、マルチニックの議員が仏国民議会で批判

ゲラン内相の「仏文明優越」論は「戦争隠蔽の危険」 社会党ロワイヤル議員が批判


サルコジ大統領は独裁者か?人権擁護者か?仏の話題


カダフィ大佐の娘の訴え、NATO側を「戦争犯罪」で国際刑事裁判所(ICC )に訴えると以前に宣言