2011年7月17日日曜日

カダフィは「十字軍遠征」のサルコジを「精神の遅れた戦争犯罪者」で追放すべきだと発言

14日、カダフィは録音されたテープを国営放送で流した。その中でニコラ・サルコジを戦争犯罪の汚点をフランスの歴史に落とし、リビアとアラブ世界との関係を破壊した者だとしている。リビアの指導者カダフィ大佐は「リビア市民に対し十字軍遠征」を宣言する戦争好きなフランスの大統領を「精神の遅れた者」扱いしている。そしてカダフィは、サルコジは「この人間はフランス人ではない」といって、負ける戦争へとフランス人を牽引した戦争犯罪者で追放すべきだと宣言した。(JST 11/07/17/15:55)

折からフランスではフィヨン首相による欧州エコロジーの大統領候補者エバ・ジョリさんへの二重国籍者発言が問題になっていて、このカダフィ大佐の「サルコジはフランス人ではない」発言と不思議に重なっているのが面白い。

毎年7月14日に行われるパリ革命祭の前日の13日に、サルコジ大統領はなにを思ってかアフガニスタンの仏軍隊を突然訪問した。その24時間後に5人のフランス軍の兵士ががアフガニスタンで殺害された。このことで14日のパリ革命祭の軍隊行進はフランス兵士の殺害にダブらせて報道することで、重ね合わせて同じく儀式化して利用しようとするサルコジの政治をヨーロッパ・エコロジスト・緑の党のエバ・ジョリさんは見抜いて反対している。

エバ・ジョリ欧州議員はパリ革命祭の「軍隊行進」は、独裁国の中国やロシアや北朝鮮がするものでフランスにはふさわしくないといっている。フランスの兵士はもっと崇高なものなのだというのだ。つまり、シリアの独裁者アサド大統領などがパリにきてサルコジと同席して閲兵する革命祭での軍隊の行進は彼らにふさわしくないというのである。それに代わるフランス市民による行進を提案している。

これに対しフィヨン首相はエバ・ジョリさんはスエーデン出身(20歳の時に仏に来た)でフランスの歴史や文化を理解できてないからだと国の出自による差別的な批判をした。この首相発言はフランス共和国の精神を理解してないものとして逆に大きな問題になっている。野党からは、サルコジの妻はイタリア人であり二重国籍者なのにフィヨンはなぜこれを批判しないのかとの意見もでている。

カダフィは、「サルコジはフランス人ではないとして、その者がフランスを敗北する戦争へと引っ張っている。この犯罪者を追放しなければならない」とアル・エジェラ(al Ejelat)に集会した人々の前でスピーカーから声が流された。

またそのカダフィの講演の中で「戦いの時が到来した。ベンガジやミストラへの遠征を準備しよう」と東部の反リビア放棄軍の占拠する町の奪還戦を宣言している。

カダフィは「自分はリビアの最後の血が流れるまで、私の人民の側にいてこの地からはなれない」とも宣言している。

ロシアのミカエル・マルゲロブ氏によると、カダフィは自殺計画を準備しているのではないかと述べている。「もしも反リビア放棄軍がトリポリを占領したのならミサイルで町を破壊する」とリビアの首相がマルゲロブ氏に語ったといっている。

フランスではベルナール・アンリー・レビィ(BHL)という哲学者がサルコジ大 統領に取り入ってリビア戦争を開始した。この戦争は現在は泥沼の中にあり、当初の市民殺害ゼロの宣言どころか、多くの非戦闘員の婦女子や市民が殺害されて いる。これはカダフィ側だけでなくフランスを初めとする北大西洋条約機構軍が人を殺害するという戦争犯罪と人権違反の行為でもある。国連条約の市民擁護の 思想とはあまりにもかけ離れているわけだ。

このフランスの哲学者BHLの 知恵ではサルコジ大統領を救えないどころか、リビア戦争を勃発させた戦争犯罪の疑惑が残るであろう。下ノルマンディの首都カーン市で市民大学を開講してい る哲学者で思想家のミッシェル・オンフール氏は、リビア戦争を勃発させる前に平和裏の交渉が先ず何度も行われる必要があったといっている。そういう事前の 平和交渉がぜんぜんなされずにその努力が欠落しているのがサルコジのはじめたリビアへの空爆だと指摘した興味深い文章がマリアンヌ誌(20011年4月 23-29日号)に掲載されている。

そこで、同氏は戦争とフランス哲学者の介入関係をサルトルとかマルローを例に出して話している。オンフール氏は、BHLの思想の中に自分たちの血が流れることよりも他国の人々の血が多く流れることにひどく鈍感な感覚があるのだという指摘をしている。そしてその取り巻きの名声や武器販売の恩恵や利益が絡んでいることも指摘している。




参考記事

http://www.leparisien.fr/intervention-libye/libye-kadhafi-traite-sarkozy-de-criminel-de-guerre-14-07-2011-1532722.php