2015年9月5日土曜日

欧州人権の名で映像は報道 シリア難民の子供の地中海溺死体 仏紙が掲載しなかった理由

何故フランスはこの映像が3日に隣のドイツでもスペインでも英国でもこぞって新聞に掲載され世界を駆け巡っているのに、フランスのどの新聞もテレビもラジオも伝えなかったのか?これが4日に問題視されてこの写真の悲劇以上に深刻化した。その為に昼の仏国営ラジオ・フランス・アンフォはこの日の金曜日の「ルモンド紙」に掲載することが決まったと報道した。この間に独裁者アサドに国を荒廃された行き場を失った難民がこれまで国境を有刺鉄線で封鎖していた右翼系大統領のハンガリーの封鎖を解き、これら難民の受け入れをこれまで拒否していたオーストリアがドイツや北欧への移民として通過を許すことに変化した。いま難民は移民として欧州共同体の中に雪崩れ込んでいる。何故フランスがこの子供が浜辺で溺死している映像の新聞報道掲載をこぞってしなかったのかの理由は、まさしくこぞってしなかったところに意味があるのだ。(パリ=飛田正夫 2015/09/05 23:49日本標準時 )

それはどこかの大学の先生がこの事件がフランスで話題になった初期に仏国営ラジオ・フランス・アンフォではなしていたことだ。

つまりこの映像はフランスのある人たちにとって邪魔になるからだというのだ。地中海は金持ちのヴァカンスでサルコジ前仏大統領もシリアのアサド大統領の友人でありながら、そこの国の難民の子供が自分の楽しんでいる夏の豪華滞在地コルシカ島のイメージと重なるからだというのだ。地中海の楽園はシリア難民やリビアからのアフリカ難民の地獄の墓場とこの夏になっていたことを我々は忘れない。

殺害されたカダフィがいなくなってリビアが完全な無秩序状態になってしまい、パッスゥーといわれる違法な渡し屋がのさばるようになった。難民を危険なボートに乗せて欧州へ運ぶ根城になってしまった。それはサルコジ前仏大統領と哲学者のベルナール・アンリ・レヴィの二人でリビア空爆を決めて、これまで友人だったカダフィを空爆することで、これまでのアラブの春の独裁者たちとの悪い付き合いのイメージを払拭しようと考えたからである。

ここまでは誰もわかっているのだが、何故この難民の問題が大きくなったのか、そして欧州共同体はこれに責任を感じているのかはわかっていない。

それは欧州共同体の人権思想のためだが、実際にリビアやシリアの難民をだしたのは誰であったのかを欧州の指導者側は自覚しだしてきたからだ。最後まで反省もなく責任も感じないで難民受け入れを拒否する人たちが、リビア・シリア難民の本当の犯罪者であって、これがアサドを支持し続けて逃げるのである。今後の欧州移民の動向は非常に困難な政治的なそして人権の闘いとなることが待っている。

3日の夜にBFVテレビに出演した中のある女性ジャーナリストが、「一枚の写真が歴史を変えたためしはない」とこの影響を否定していたが、事実は大きく変わる引き金になっているようだ。移民・難民の受け入れをこれまで賛成していて、ドーバー海峡トンネルでの移民事故後に最近反対側に意見を変えていた英国のカメルーン首相も、この映像が欧州内に流れた後で、4日には受け入れ賛成に急旋回したのである。

【参考記事】

Les luxueuses vacances des Sarkozy en Corse

G.L. | 29 Juil. 2015, 09h16 | MAJ : 29 Juil. 2015, 11h01
http://www.leparisien.fr/politique/les-luxueuses-vacances-des-sarkozy-en-corse-29-07-2015-4976799.php
http://www.leparisien.fr/politique/les-luxueuses-vacances-des-sarkozy-en-corse-29-07-2015-4976799.php