2014年9月20日土曜日

【コラム】サルコジの仏大統領選挙立候補宣言 三世の因果律を否定する魔術師の「ページめくり」

▲サルコジの新しくない新戦略とは

フランスにはトルネ・ラパージュ(ページをめくれ)という言葉を好む人が結構いる。今日、サルコジ氏が2017年の仏大統領選挙選挙に立候補する宣言をしたが、同氏の支持者がさかんに「トルネ・ラパージュ」、「トルネ・ラパージュ」と何度も繰り返し主張している。ラジオのインタヴューなのだが、聞いてみると新しいシステムを作ればよいということらしい。サルコジはそれができるのだというのだ。まるで魔術師か詐欺師のようだと思った。聞いていると、ようするに都合の悪い過去は終わりにして、サルコジの都合のよいシステムにすることをいっているようだ。だから「ページをめれ」というのである。ここには過去と現在と未来との因果関係を認めない、あるいは切断しそれらの関係性を否定する三世の因果律を否定する魔術師の安易なご都合主義がある。

▲汚い過去は見なければ否定できるのか 

よく見てみると、フランス人がしばしば使うこの「トルネ・ラパージュ」という言葉には必ずといっていいほど自分の過去は見てくれるな、もう過去は過去でいいではないか終わりにしようという誤魔化しが潜んでいるものだ。19日夜の国営放送テレビアンテナ2でもサルコジ側近のフルキエー氏がバックミラーは見ないようにしようと話している。そして新党を結成することで国民運動連合(UMP)の悪いイメージを過去に追いやって払拭できると考えているらしい。

また、フランスには公園や町の繁華街などには、しばしばメリーゴーランドというのがある。これも非常に美しくできていて人気があるものだ。呼び方は回転木馬などとも呼ぶのかもしれない。

ここには楽しい現在の回転だけがあるが、過去も未来も回っているだけで無関係になっている。その一時だけで、ある時間がくると回転は止まり降りなければならない。

これを子供達が好きなのは、そして誰でもがうっかりするとこの現実快楽の回転木馬に乗って一生楽しみたいと思っているのではないだろうかとも考えたりする。しかしここには過去と未来が捨象されていて、人間の過去の努力とか建設とかが無関係になっているのだ。棚からぼた餅式のシステムを描いた快楽原則だけの世界なのだ。サルコジの到来とはそういう回転木馬の世界観を主張してくる危険なものなのだ。

▲サルコジの行く手を阻む多くの障害物

サルコジの前には多くの疑惑事件が山ほとあり仏大統領選挙への障害物となっている。カラチ事件やベッタンクール事件、カダフィ空爆やカダフィからの仏大統領選挙運動資金受け取り疑惑、タピ優遇私設裁判事件、サルコジに親しい裁判官ジルベール・アジベールと弁護士ヘルゾーグを使った裁判所機密盗用事件などの疑惑を晴らさないで、バックミラーは見るなとかの主張こそは、これを踏み倒し過去のページとして消し去ろうとする「トルネ・ラパージュ」(ページをめくれ)の策略なのだ。これは民主主義 の責任ある掟に反するものである。

▲因果を忘却したキリスト教の現世主義に患わされた人々

2017年の仏大統領選挙への候補宣言は、先ずは国民運動連合(UMP)内で各党がそれぞれ仏大統領選挙候補者を決める党内予選選挙(プリメール)に立候補宣言することが民主的な筋であった筈である。それを経ないでつまり国民運動連合(UMP)の採決を経ないで、別の新党を結成して避けようとしているようである。ここでも「ページをめくろう」新システム」だと騒ぎ立てていることはあまりにも都合がよいメリーゴーランド屋の話しなのではないのか。そういうメリーゴーランドが好きだと言う困ったフランス人に同氏は人気があるようだ。これは三世の因果律を否定することになっている。過去・現在・未来の三世の因果関係を隔別させてしか現実を考えることのできない人たちで、キリスト教に影響された現世思想からの災いだともいえる。