2015年5月15日金曜日

ブルンジのクーデターで チャド政権転覆が危惧 ヌジャメナの社会人類学大学研究員にリベラション紙がインタヴュー


ブルンジ共和国のクーデターで、「アラブの春」のアフリカ版が到来するのではないか?と、チャド政権の転覆が心配されている中で、14日にチャド大統領イドリス・デビが仏大統領官邸エリゼ宮殿のオランド大統領を訪問した。2月のはじめからイスラム武装集団ボコ・アラン壊滅作戦で現地の最前線にチャド軍隊が参戦している。クーデタがデビ大統領にとって、危惧されることに関し、チャドの首都ヌジャメナの社会人類学大学研究員であるラディバ・ゴンドー氏にリベラション紙がインタヴューした。

 リベラション紙-あまりメディアが報道していないボコ・アランとの戦いを宣誓したチャドのイドリス・デビ大統領のエリゼ訪問を、どんな風にあなたは見ているのか?

 チャド側にとってよくない印象であるのは確かであり、フランス側も、人権を踏みにじっている体制の今回のこの訪問を報道することは、同じことであると思う。思い出して欲しいことは、3月に警察の学生の抗議デモへの鎮圧で、逮捕者が出て3人が死亡したというのは、チャドの首都ヌジャメナでは初めてだった。そして3日前には学生たちはまた、デビ大統領がフランスへ出発する直前の抗議デモで逮捕された。これが何を意味するかということだが、私にとってはこのメッセージはフランスと欧州各国が学生を暴力的に扱ったことへの抗議なのであり、もっと人権に注意してほしいというものだ。

 リベラション紙-現在進行しているブルンジ共和国の出来事を権力が心配しているということか?
 
 そういうことになる。チャド権力には多くの難関が横たわっていて、1991年12月から大統領に就任していたブルキナファソのブレーズ・コンパレオ大統領が6期めの最中の2014年10月に失墜したが、チャドの公共メディアは、このブルキナファソの首都ワガドゥグー(Ouagqdougou)での事件を何も報道しなかったのである。大統領の任期に関する話しをすることを恐れて報道停止がなされたのである。ブルンジ共和国では今どうなっているのかというと、ここでも軍隊が体制の柱になっていて非常に心配されて見られている。

 リベラション紙-チャドの権力体制は部族支配が基本にあり、この地方のブルンジやブルキナファソでこの種の政体が震撼するのではないか?
 
 政府としては違うだろう。しかし私の見るところでは、いずれにしても政体に一種の靱帯となっている家族組織は残るだろう。チャドの権力は家族組織のうねりによってできていて、デビ大統領自身がこの民族的な親族組織の罠にはまっていて、自由な身動きがしたくてもできなくなっていると、私は見ている。もしこの体制が転覆すれば各部族の利益争奪合戦で大変なことになるだろう。
 リベラション紙-フランスの立場はどういうものか?
 チャドのイドリス・デビ体制はフランスにとっては、まったくもって政治的な位置認識でしかない。それは鉄の人、イスラム武装集団ボコ・アランと戦う人、アラブ世界と中央アフリカとのクッションになる人といったものだ。デビ体制の視覚は、短期的にみて、かなり悲劇的なものがある。すべての民主主義的な考え方からは離れていて、家族権力を背景にした富の横領取得に目をつぶっている。

【参考記事】


Ladiba Gondeu est enseignant-chercheur en socio-anthropologie à l'université de N'djamena. A l'occasion de la visite d'Idriss Déby ce jeudi à l'Elysée, il revient sur les...
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