2016年2月9日火曜日

カイザック財務相のスイス税金隠し裁判 サルコジ任命からオランド政権激震まで

(パリ=飛田正夫)元財務大臣でスイスに税金隠しを組織していジェローム・ カイザック(Jérôme Cahuzac)(63歳)の財政面での裁判が始まり、このことでフランスのメディアは大騒ぎしている。私の思い出すのはこのカユザック事件だが今のテレビ・ラジオはオランド政権下の財務大臣の税金隠し裁判を大騒ぎしているが、ボルドーのベーグル市長で欧州エコロジー・緑の党のノエル・マメール(Noël Mamère )議員は事件当時2013年4月3日に発言し、カユザック氏はサルコジ前大統領が議会で財務委員会議長に任命したのでありその責任は何故問われないのか?と強い疑問を提出していたことだ。ノエル・マメール氏の疑問は、2012年のオランドとサルコジの大統領選挙で社会党が5月6日に勝利して、新内閣に財務相として2012年5月16日にジェローム・ カイザックが任命される。しかしカユザックはサルコジ政権下で2010年2月24日に国民議会で財務監視と経済全般及び財政委員会議長に任命されていて、オランド政権下の2012年6月16日までその地位にあったことを指摘してその責任をいったもの。



同氏が20年来スイス銀行に不法所得を隠蔽する口座を所持していたことを告白したことで2013年は大騒ぎになっていた。事件の発端は、インターネット新聞メディアパートがカイザックの隠し銀行口座がスイスに存在すると2012年12月4日に暴露したことからこの事件が始まる。オランド仏大統領はこれまでその存在を知らなかったといっていた。 カユザック氏のスイス銀行口座所得隠蔽問題は急に現在おこったものではなくて、サルコジ前大統領時代に製薬会社への好意的な政策で見返りコミションの不正報酬を得た隠し金であると見られている。当時、マメール氏は財政面の取り締まり強化を提案してきたが、サルコジ氏は友人たちがこれで困るのを嫌って、取り締まりを弱化させてきたのだと指摘していた。

税金隠しはマグドナルドやスタバのコーヒー店はフランスで営業していてもフランスに税金を払わないで、もっと安いベルギーなどに払っている。映画スターやスポーツ選手は税金の安いスイスに国籍を映しフランスで仕事をしている。有名なのがサルコジの友人の歌手ジョニー・ホリディだ。サルコジの市長時代からの友人のバルカニ夫妻の税金隠しも凄い。ノルマンディーの印象派のモネで有名なジベルニーにある19世紀の家屋は4ヘクタールあり、プールやゴルフやテニスコート付の(le Moulin de Cossy)400万ユーロ(約6億円)相当の物件がある。この屋敷に同氏を毎日、市の運転手が送り迎えしていた。版画は1枚150万円もするものをたくさん所持している。ピカソやミロの絵も持っている。カライブ海のサン・マルタン島の別荘なども隠して持っていた。問題は税の無申告が法律違反になっている。スイス銀行に金の延べ棒を隠し極右派系国民戦線(FN)総裁マリーヌ・ペンの秘書が管理していた事件もある。2015年4月には、ニナリッチの後継者がスイスHSBC銀行などを使って税逃れを働いていて罰金1億5千万円が要求された事件だ。