2015年7月7日火曜日

ギリシャの教訓は 国民投票の勝利で「国民主権」が浮上 欧州の独裁管理体制が批判


 欧州中央銀行(ECB)はそれ自体で動くことはなく、欧州議会の判断でインフレーションを2%内にとどめるとか、成長率を監督したりして各国に介入するわけです。それが7月5日のギリシャの国民投票によって、欧州議会の強国が弱小国を支配し命令していたという非民主主義な独裁的体制が浮上して逆にドイツや前の仏大統領のギリシャ政策に批判のメスが入る事を恐れだしたということでしょう。チプラス(Aléxis Tsipras)首相は、ギリシャは緊縮財政の条件を受け入れる変わりに、ECBの援助支援を出すのでこれを受け入れよという事は自分は反対であるが、それは国民が決めることだとして国民投票を行った。つまり欧州の強国が決めるのではなくて、ギリシャの国民が決めるということ、つまり「国民主権」が叫ばれたということなのです。欧州が独裁的なドイツのメルケル首相やサルコジ仏前大統領の時代に「独-仏主軸の欧州共同体」へと変質してしまっていた。(パリ=飛田正夫 2015年7月7日 2:49 )
 今のECBも国際通貨基金(IFM)も金を貸し援助はするから利子をつけて6月30日までには遅帯なく返済せとせまっていた。できなければユーロ圏内を出て行っても好きにするがよい。どっちみち弱小国だから我々は痛くも痒くもないと10日前までは言っていた。サルコジ氏は最近もまたギリシャの国民投票に反対して騒いでいた。それがこのギリシャの国民投票で急激に変化しているわけです。理由は民主主義とは「国民主権」であることをギリシャのチプラス(Aléxis Tsipras)首相の提唱した国民投票が61%以上も票を獲得したことで、これを否定できなくなったからです。これを否定するとナチスの独裁と同じくなる。

欧州共同体のメンバーは小国も大国も関係なく等しく尊厳されなければならない。主体である国民が決めたことを覆(くつがえ)すことは独裁者ということになる。ですから話がここ数日でガラッと変わったのです。サルコジ氏の原稿を書いていたゲアン特別エリゼ宮殿秘書官なども、民放BFM.TVに出演して必死で手のひらを返すように目を白黒させながら躍起になっている。旧時代の欧州共同体のイメージだったのが変わるということです。しかし資本の論理の横暴な遂行だけでは欧州共同体がやってはいけないことがわかってきた。

ギリシャだけではない。弱小国のポルトガルやスペインやキプロスなども地政学的にも重要な欧州共同体の、いい意味での防波堤となっている。地中海の対岸やイスタンブールにも近いし、移民問題なども含めて非常に重要なのです。ギリシャを外に投げ出せばその被害は借金などの金額では済まないのです。国際通貨基金(IFM)にも欧州中央銀行(ECB)にも金ばかり計算する人は多いが、民衆のための国家であり欧州共同体であることを忘れていたのです。ドイツだっていまはギリシャが負債国で厳しいことをいってきたが、自国の二度の戦争での借金は返済してないで済んだことは棚上げにしている。

これは恥ずかしい事なのだ。これをきっかけにして誰が悪いというのではなく、弱小国があって金めぐりが悪いからといって排除や切捨ての脅迫をしない、性急な負債返還要求などをしない、悪い思想を捨てて欧州共同体を良い方向にしていくことに向かうことを願いたい。

具体的には6人にパリを訪れ会談したドイツのメルケル首相の態度がオランド仏大統領と合同して考える線になってきている。明日は新たに任命になったギリシャの財務相が提案を出すことになっている。金だけでない共同体の持つ意味が問われている。そういうことを含めて明日は非常に面白いことになるのではないかと期待しているのです。