2016年1月4日月曜日

「立正安国論」をフランス語で読む


(パリ=飛田正夫2016/01/04 13:24日本標準時)立正安国論」は日蓮大聖人が時の権力者である北条幕府に対し国家諌暁した書だとはしばしばいわれる。この「立正安国論」には何が書いてあるかだが、それは今のフランスやヨーロッパでのテロリスト事件や、日本の戦争への傾斜を考えると、非常に時というものの相似性を考えずにはいられない。つまり、「立正安国論」ではなぜ戦乱が起きて民衆が国を滅ぼし、家を失い、家族が不意に死んでいくのかの原因を究明したものだからである。そのために国家権力はこのような日蓮大聖人の言動や日蓮大聖人御一門に対し圧力をかけてきたのであった。只、弾圧をするだけではなくて、その後も創価学会の時代に至るまで、日蓮大聖人が現された「立正安国論」は様々に改変され、意味をたがえて外国でも翻訳がなされている。それは「立正安国論」の真実を示すと、自分たちの宗教が破折されることになるからである。


「立正安国論」はそのように誤れる宗教が国を滅ぼし家を亡ばすとされて、特に念仏の法然の「選択集」を批判しているのである。「選択集」では「捨閉閣抛」という法然の立論を巡って日蓮大聖人の立場である「主人」と念仏・悪魔の法然の立場である「客人」との対談形式で論議されている。この対談は全部で9つの問いと答えの対談と、最後の第10番目の問いで終わっているのだ。しかし、最近に私がフランスで目にした仏訳での新らたな、日蓮大聖人の「立正安国論」の誤魔化し訳のやり方を発見したので、一言だけここでお知らせしておきたい。

「立正安国論」の対談形式では、先ず、「客人」の問いから始まって、「主人」がこれに答えるという形式を、同じ様に順番に9回繰り返すわけである。「客人」の問いとは、ここで述べたようにどうして戦乱が起こるのかという質問なのである。日蓮大聖人の立場である「主人」の回答は法然の「選択集」がその原因だということを、様々に経典を引いて論証していくわけだ。そして最後の第10番目の対談形式は、ここでも先ず「客人」が質問するのだが、これに対して「主人」は答えないのである。「主人」の回答する代わりに「客人」が、初めの第1問で質問した「客人」自身の質問の回答を自らがするのである。問いすなわち答えということなのだが、「主人」の立場に改心した「客人」は、自分の先生であった念仏・悪魔の法然の思想「選択集」の「詞」=「捨閉閣抛」を批判して、「立正安国論」が終わっているのである。

問題は、今回見たフランス語訳などでは、この第10番目が第9番目に編集混入されていて、「先達之詞」の「詞」 が「選択集」を指さずに別のものに訳されている。これでは折伏はできないのであるということである。今回ここに掲載した日蓮大聖人の「立正安国論」は漢文である。この方がよく理解できることがわかると思う。ゆっくりと話しの持ち主が誰であるのかを、つまり「主人」 なのか「客人」なのかを、一つ一つ確認していくことで第九段目の終わりの「此詞此言」というのは何を指しているかがわかる。

つまりそれが、「立正安国論」の最後の第十段目にある「抛」と「閣」の二文字は法然の「選択集」の「捨閉閣抛」を指していることがわかるのである。つまり、客が「随」った「先達之詞」とは法然の「選択集」の「捨閉閣抛」のことであり、この「先達之詞」の「詞」が「捨閉閣抛」を指しているのがわかるように明快に訳すことが必要なのである。フランス語の翻訳ではそれがなされてない。それがなされてないために、日蓮大聖人の立場の御主張である念仏・法然の思想を破折した「立正安国論」の趣旨が無効にされる訳し方になっているわけだ。これでは邪宗を折伏することなどできなくなってしまうのである。

私がこの文の始めに、フランスや日本の現代の戦争への危機の高まりや宗教戦争のテロリズムが横行していることは、このような正しい日蓮大聖人の仏法を隠し改変し誤魔化す動きがあることで、日蓮大聖人の時代と相似しているわけであると書いたのは日本の創価学会だけでなく、外国のフランスにおいても日蓮大聖人の「立正安国論」を誤魔化して翻訳し戦争の原因を作っていることを指摘したいがためであった。

戦争の原因がこの正しい仏法をないがしろにする邪義にあると「立正安国論」では論議されている。であるから、フランスにテロが起き他国から責められるのはテロリストの悪もあるが、その悪を遠くから呼び寄せたのは、正しい日蓮大聖人の仏法を誤魔化して悪用する信仰者のあり方や団体に大きな誤りがあって、それが原因しているからだ。なぜならばキリスト教やイスラム教では、人を殺害する戦争の原因である人間の貪(むさぼり)と、瞋(いかり)と、癡(おろかさ)という貪・瞋・癡(どん・じん・ち)の三毒の煩悩を解決できないでいるからである。残念ながら、その戦争を解決できる日蓮大聖人の「立正安国論」なのだが、フランスではこれが日本同様に誤魔化されて正しく訳すことをしたがらないのである。この傾向は創価学会だけではない。

創価学会の悪義は今回取り上げたフランス語訳での誤りとは別に、池田大作による悪義も指摘しなければならない。一言だけいうと、それは、「立正安国論」の第七段、第八段、などでも論じられている創価学会の悪義のことだ。ここでは、「主人」 の主張と「客人」の主張とを取り換えて誤魔化して、主客顛倒させて、「四表静謐」と「国土泰平天下安穏」の主張が日蓮大聖人の立場であると誤って理解した創価学会は、これが日蓮大聖人の世界平和論の思想だとして読み損ねたために、創価学会はこの法然の理論をもって世界平和・文化路線の根拠に据えることにしたのである。池田大作が「立正安国論」を逆さまに理解し、悪魔の念仏法然の思想を広めたために、この池田先生に随った創価学会・公明党が、日本の戦争化の道を支持することになったのは至極当然なのである。