2014年1月7日火曜日

仏内相 人種差別と反ユダヤ主義で ユーモリストのデュードネ公演禁止を通達

6日マニュエル・バルツ仏内相は知事及び市長にユーモリストのデュードネ(Dieudonné)氏のスペクタクルを人種差別と判断してその興行を禁止する通達を出した。これにより法的な処罰が可能になる。バルツ内相はユーモリストは芸術的な創造は何も無くて政治的なもしくはユダヤ人への敵意と怨念のシオニズム(アンチセミティズム)を掻きたてるものだといっている。9日にはナント市でのデュードネの公演が予定されているが、同地方のロワール・アトランティク知事はこれを禁止する宣下を7日にするだろうとナント市の前市長であったジャン・マルク・アイロー仏首相は見ている。26日のボルドーでのデュードネ公演は、アラン・ジュッペ同市市長(国民運動連合 UMP))も禁止する宣言をだした。

これに対しデュードネ側の弁護士はフランス通信(AFP)に、「総ての禁止にたいし」即刻「抗議する」と言っている。裁判所と仏国家審議会では表現の自由の尊厳から仏憲法審議会ではこれまでデュードネを禁止する15件ほどの訴えを却下してきている。

SQSラシズムや仏学生ユダヤ連盟(UEJF)などでは今後は総ての反ユダヤ主義的な行為を許す事がなくなることになると宣言している。

仏南西部のトールーズやモントーバンででメラ事件があった。これはイスラム主義者の青年がユダヤ人学校の生徒や先生を殺害した事件で、犯人のメラ青年はその後、自宅に閉じこもったが警察によって射殺された。

メラ事件は2012年の大統領選挙直前の事件であった。今度のユーモリストのデュードネ氏の事件も3月の地方選挙を前にして急速にメディア化されたように思える。メラ青年の事件がメディアで大きく取上げられて、フランス社会を騒然とさせた。

これらは共にユダヤ人とイスラム主義者を巡る人種差別の問題が絡んでいるからだ。フランス人はこのような事件に敏感で大きな反響となって選挙に影響する。そのために選挙前にしばしば登場する出来事なのだと考えられる。

メラ青年は何年も前からその行動がアフガニスタンなどへ訓練に出かけていることがわかっていて当局にマークされていたが、サルコジ政権はこれを意図的に野放しにして置いたと考えられる。メディアに登場させる機会を待機させられていたかのようでもあった。デュードネの場合も今始まった事件ではないのである。

犠牲者の家族の中にはこの政府当局の怠慢を訴えて告訴している人もあることを忘れてはならないだろう。

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【参考記事】
http://tempsreel.nouvelobs.com/topnews/20140106.AFP6927/tournee-de-dieudonne-l-interdiction-se-concretise.html