2016年2月24日水曜日

フランスの「ジャングル」解体は延期 人権擁護団体と判事がカレに介入

(パリ=飛田正夫2016/02/24 3:10日本標準時)フランスの裁判所がカレの「ジャングル」解体を延期決定。予定では2月23日の20時までにカレの「難民」キャンプの6000人ともいわれるバラック小屋は立ち退き解体されることになっていた。「ジャングル」には動物がいるわけだが、ここでは人間が住んでいるという差別の逆説がメディア化している。23日午後に判事が20分ほど現地を視察したその判断が夕刻でたわけだ。判事は23日夜にはここにいる300人ほどの子供はパド・カレ県庁による立ち退きは無理だと行政裁判所では判断したようだ。子供を守る人権擁護協会のメンバーも国が予定している「ジャングル」の解体は執行できないと叫びながら、現地に住み込んで待機していた。国が解体しようとするキャンプは南部側にあって、そこには425人の子供や未成年者が寝起きしている。特にその内300人の子供は身寄りのいない一人の生活をしているという。国はこの南部キャンプが貧民窟になっているとして、隣接する北部地区にコンテナを運んで来て暖房や下水道施設のある清潔なそれなりの住宅を準備した。ところがそこには教会もイスラム礼拝所もなく、店もない。「難民」たちは質素ではあるが生活に必要な小文化を築き上げていたという。これが新しく移住させられる北部地区のコンテナ住宅にはないのだという。移転の予定者は全員は無理で400人ほどだという、他は何処へか行かなければならなくなっていた。左派の投票があってこの地方の代表議員になった前労働相で今はサルコジから距離を置いているグザビエ・ベルトラン氏はベルナール・カズヌーブ仏内相と自分の考えは同じだとすり寄って話していた。

学校が終わると子供たちはリーズさんの家に集まる。リーズさんは子供達の母親代わりなのである。彼女はコニャックに近いフランス南西部のアングレームからやって来た人で、婦人たちと子供たちのためのセンターを泥道ばかりの中に立ち上げた。その両隣に劇場と教会がある。アフガニスタンから来た子供は通訳の援助で身の上話しをしようとした。自分は英国にいる叔父を頼って、勉強するためにアフガニスタンの両親から一人離れて、渡し屋(パッスー)に連れらてきた。

このカレのジャングルの解体が話されてから子供たちは気が滅入っていて、気が立っているのだと、6カ月ほど子供達を面倒みているリーズさんは説明するという。彼女自身もこういう子供を見ているとたまらなく苦しくなるのだという。リースさんが見て来た子供達はここに来てから5カ月が経過してより静かにより威厳ある振る舞いに変化したのだという。それは彼らの欲していたものを与えたからだと彼女は話した。ところがまた新たに移転となれば子供達はどうしてよいかわからなくなってしまうのだと心配している。キャンプの解体ともなればどこに行っていいかわからない路頭に迷った哀れな子供を国はどのように責任を取るというのであろうか?

ここにやって来たすべての「難民」が夢見た人権の国フランスが人権を守れないのは恥ずかしいことだ。人権の国が人権犯罪を犯そうとしている。これはフランス全体の集団的責任であり、国がここでやって来ていることは国際的に裁かれなければならないと人権擁護団体は訴えている。

【参考記事】
http://www.franceinfo.fr/actu/faits-divers/article/evacuation-de-la-jungle-de-calais-que-vont-devenir-les-enfants-768891