2015年4月27日月曜日

フランスで唯一のナチス強制収容所を訪問し 仏大統領が人種差別と反ユダヤ主義を批判

4月26日フランソワ・オランド仏大統領はアルザスのストラスブルグとコクマールとの間の山岳地帯に位置するストルトフ(Struthof)強制収容所を訪問した。ストルトフはナチスがフランス国内に唯一作った強制収容所である。ドイツ第三帝国の支配下にあった全ヨーロッパの国々からストルトフに送られた人々は、主に政治活動やレジスタンスを戦った人々が主だが、ユダヤ人やロマ人やホモの人々もいた。オランド大統領は、現在ヨーロッパやフランスで多発してきている人種差別や反ユダヤ主義の動きに対し、再びナチスと同じ大量虐殺(ジュノサイド)の惨事が繰り返されないように行動を起こさなければならないと話している。


オランド大統領は、「歴史認識だけでは最悪の事態を回避できない。最悪の事態はまた再びいつでも起こり得る」「今も人種差別と反ユダヤ主義が存在する」ことが危険を予告している。「だから我々は現在もその犠牲になっている人々を保護するために行動しなければならない」と宣言した。

ストルトフ(Struthof)強制収容所には、52000人ほどが集められた。その内の22000人はガス室に送られて殺害されている。ここでは特に医学的な実験や研究が収容者を使ってなされた。特に戦争用毒ガスの研究に使われたという。ルモンド紙(Le Monde)によるとアウシュヴィッツ の収容所からもユダヤ人がここに送られてきて、ここで殺害され死体がストラスブルグ大学に保管されたといっている。アルザスは第三帝国の支配下になっていたからだ。
オランド仏大統領はさらに、この悲惨なガス室での殺害は、ヨーロッパ人がヨーロッパ人に対してやった犯罪であると宣言している。ストルトフ強制収容所の存在はアルザス地方以外では長い間あまり知られてなかった。
2005年には、ジャック・シラク元大統領がここに収容所送りになったレジスタンスの人々を記念するヨーロッパ・センターを作っている。


Le chef de l'Etat, accompagné de dirigeants européens, a visité la chambre à gaz de ce camp resté longtemps peu connu en dehors de l'Alsace.
LEMONDE.FR