2013年10月26日土曜日

レオナルダさん論議で フランスの「出生地権」や「移民国籍法」の修正発言も

フランスはロマ人レオナルダさんを巡る論議が続いている。社会党のミッシェル・サパン氏は欧州エコロジスト・緑の党(EE-LV)のジャン・ヴァンサン・プラッセ(Jean-Vincent Placé )上院議員がレオナルダさんのことで家族もフランスに呼び戻せるよう抗議すべきだとして高校生を煽っているが、これはまったく子供じみた行為であると批判した。

例え青年の場合でも人間的な振る舞いの様相をもってしても法律は守るべきだとサパン氏は言って、「レオナルダさんがフランスで教育を続けたいならフランスに来る事を許可するが家族はだめだ」とするオランド大統領の発言を擁護している。オランド大統領を支持するステファン・ル・フォル氏はエコロ(ジスト)は少し子供なのではないかと発言した。

これに対しジャン・フランソワ・コッペ国民運動連合(UMP)議長などの発言は、移民の子供の「出生地権」を剥奪するもので尊厳のないものだとオランド氏を批判した。このコッペ氏の批判を支持する者のが前仏エコロジー相ナタリー・コシュスコモリゼ氏だ。コシュスコモリゼ氏はサルコジ前大統領の選挙運動のスポークスマンであった。

「出生地権」が問題になっていて、フランスで生まれた子供は自動的にフランス人にはなれず、その親がフランス国籍を申請をしなければならないとする1993年のパスクワ法をコッペ氏が説いていると指摘している。これはまたサルコジ前大統領の移民排斥政策などにも通ずる右派の一環した主張でもある。

コシュスコモリゼ氏は外国人の移民の子供がフランス人になる意思があるのかを問うのは当然だとしている。しかしフランス人になるかを問われる為に生まれてくる子供というのはフランス家族の中に生まれる子供であっても、いないだろう。それがフランス人・移民を問わず生まれた子供に付与された「生誕地権」の根拠であったはずではないのか。

コシュスコモリゼ氏は欧州域内の自由な労働と往来をうたったシュンゲン協定に於いても、国境を管理できない国をこれから排除すべきだとしてコッペ氏に同意を示している。移民の家族呼び寄せなどでも同氏はフランス語が十分に話せないからという理由で反対している。

シュンゲン協定は人の自由な往来という、人種や言語差別を超えた国境を取り払うことにこそ意義があったはずである。