12月末に週刊紙「カナール・アンシュネ」にフィヨンの架空雇用税金横領事件の暴露記事が出た時には、その少し前にフィヨンが「共和党」（LC）を含む右派の大統領選挙候補者に決っていた。フィヨンがあと50日とせまった仏大統領選挙運動をこのまま続けると「共和党」（LC）はマリーヌ・ル・ペン極右派系国民戦線（FN）にも仏前経済相エマニュエル・マクロンにも大敗することが世論調査によりわかっていて、この最悪の状況をフィヨンが何故続けるのかと危ぶまれている。5日夜8時のフランス国営放送テレビA2に出演したフィヨンはA2のロラン・ドラウエアナウンサーの質問にこたえ、もし大統領選挙で勝利すれば、フィヨンも認めたもっか起訴中の婦人ペネロップさんらの架空雇用事件は大統領保護権を使ってその追求停止をすることを認めた。フィヨンはその為にも絶対に選挙に勝ちたいと考えているわけだ。
フィヨン元首相の問題は、単に自分が起訴されたらならば大統領選挙候補から降りると11月24日の第一回目のＬＣ内代表者予選選挙候補者選考（プリメール）のテレビ・デバ演説でジュッペらを前に発言して、「起訴されたドゴール将軍などはいない」とかって起訴されたことのある対抗候補者であるサルコジやジュッペを牽制してみせたのであった。その清潔なはずのフィヨンが起訴されたのだから、この発言は撤回できないのである。平気で嘘をつくとこのフランスでは前のサルコジの例もあるように大統領選挙には勝てないのである。フィヨン起訴以後の発言では1日になされたものがある。裁判所が判決を出すのではなくて、私を支持する市民の票がつまり大統領選挙でもって決めるのであって、それは人民法廷で決めるというポピュリズムの性格を露見させたものである。これは法治国家フランスの民主主義を覆し否定するフィヨン氏の思想の大問題なのである。
1日から５日間で、すでに300人近い「共和党」（LC）議員がフィヨン離反を宣言しているが、5日は元元高等教育相を担当しイルドフランス地方議員のヴァレリー・ペックレッス氏や、元労働大臣で現北部地方議員グザビエ・ベルトラン氏、ニース前市長クリスチャン・エストロジィPACA（パッカ）プロヴァンス・アルプス・コートダジュール地方議会議長らがフィヨンに対し「共和党」（LC）の大統領選挙候補を降りるように進言することになっている。すでにこの3人は昨日5日のフィヨンのトロカデロ広場での大統領選挙運動の続行宣言前に立場の変更を表明していた。
6日昼前にはこのフィヨンの頑固なまでの宣言を受けてアラン・ジュッペ現ボルドー市長（元首相）が談話を出すことになっている。すでにジュッペはサルコジと4日に電話で打ち合わせをしていると報道されている。
フィヨン候補は、5日の夜8時からのニュース番組に出演する前には午後15時過ぎからトロカデロ広場で、小雨の中をシラクの気に入りだったバロワン議員やランゲ元防衛相、ユック・シャテル元教育相などに囲まれて仏国旗の小旗を持った市民を前にして、絶対最後まで引かないと宣言した。この映像は同時中継で5日午後15時からfrancetvinfoテレビだけが報道した。フランス国営放送テレビＡ2は報道しなかった。francetvinfoの映像はいつも一方方向からのカメラワークで全体の集会の規模がわかりにくかった。後で航空写真が提示されていたがこの写真には修整した疑問があるとfrancetvinfoの解説者は別の角度から撮った地上写真を示し、トロカデロ広場はがら空きの箇所もあったことが指摘されていた。
