2016年10月8日土曜日

仏のイスラム嫌い熱は峠を越した アフリカは歴史の中に無い、ブルキニ禁止、仏移民はガリアが先祖とサルコジ

(パリ=飛田正夫 日本時間;‎‎‎08/‎10/‎2016-14:33:32)2015年度に起こったテロ襲撃への反発から、フランス人はこれを煽るメディアやサルコジ前大統領の反イスラム嫌いの人種差別発言もあってか、フランス国内にイスラム嫌いの行為が激増していた。しかし今年初から8カ月間ではこれが58%、反ユダヤ人行為が61%と前年度に比べ減少化の傾向にあって、イスラム嫌い熱は峠を越したと見られている。仏政府各省間大臣がジル・クラヴロー(Gilles Clavreul)氏が7日にFRANCE24.comのインタビューで報告した。同大臣によると、この傾向は今世紀初めから監察されている中で、最も低くなっていると話している。ビュィソン氏がテレビでも言っているようにサルコジはイスラム青年の暴動を内相として止めないで置いて、それが激化して暴動事件になるのを待たせていたと暴露している。サルコジは政敵のドミニック・ド・ビルパン首相を追い落とす政争の具としてこの暴動を利用したという。フランス人の心の奥に眠っているイスラム嫌いを煽り出し掻き立て利用したということらしい。

フランス国営放送テレビA2に、7日夜に招待されたサルコジ前大統領は、このフランス人の社会意識の変化を知らない様だ。サルコジは11月に予定されている2017年仏大統領選挙の「共和党」(LC)内での代表予選選挙のプリメール候補者の一人だが、いまだに移民・難民増大の危機を煽って支持票を模索している。

サルコジは移民の家族呼び寄せは認めないと7日のテレビ出演でも繰り返した。サルコジは、人間が家族と一緒に幸せに暮らすという権利を欧州外の移民には認めないと人種差別の危険な発言を平気で口にするのは、右派の支持を得るための嗾(けしか)けであり扇動発言なのである。

これにはインタビューを担当したA2のロラン・ドラウエ・アナウンサーも、いつもになくサルコジに卑下して同意しなかった。パトリック・ビュィソンの近著「La Cause du peuple」を上げてサルコジを悩ませた。フランス人がテロ熱の扇動にうなされてか、寝言を平気で言っていたことに次第に冷静さを取り戻してきているということなのか。

サルコジ前大統領が、アフリカは歴史に入ってないと発言していることは有名だ。それを発言した人が、アフリカのイスラム移民はフランス国籍を得ればみんな先祖はガリヤ人になると歴史にないお伽噺を話し多くの常識ある学者・知識人からは失笑をかった。

フランス移民には家族呼び寄せを認めないとサルコジの主張だ。すべて一部のイスラム嫌いのフランス人に対して受けと支持を期待したものだ。サルコジ友の会会長のニース市長がいる右派系支持者の多い地中海コートダジュール地方の幾つかの市では、海水浴場ではイスラム女性の体をすっぽりと隠した水着を禁止して、彼女らを困らせていたが、国がその違法を裁断している。

しかし人間は誰もがテロ襲撃事件の状況の中ではサルコジのいう意見に耳を傾けてもそれが異常な中でのことであり、人間的な思考からは行き過ぎた人種差別の行為であったとは思ってもイスラム嫌いの酒を飲まされて踊り狂う大状況ではそれが政治家の扇動であったことには、なかなかベッソン氏の本のような内部暴露が示されないとその扇動に気が付かないでいるわけだ。今酔い醒めて、扇動者の教唆に踊っていいたのだと反省しだしたのである。

カレの難民をフランス全土に振り分ける政策は、オランドのカレ訪問で年末までにはカレのジャングル・キャンプを解体することが宣言されている。これに伴って難民受け入れ側のフランス全国の市町村では、多くの人々が困っているのを助けないではいられないとして難民受け入れ策に前向きな態度でその意思を表示しているインタビューが報道されている。サルコジ取り巻きの極右系議員たちはイスラム嫌いの人々を扇動する為か、難民を受け入れないように市町村の責任者に呼びかけていた。しかし、今はその非人間的なバカらしさを感じはじめたのか、賛同する市長の話はメディアから姿をけしている。

【参考記事】http://www.france24.com/fr/20161006-france-forte-baisse-actes-racistes-antisemites-gilles-clavreul