2016年8月1日月曜日

メルケル独首相「トロイの木馬」の危険も 難民受け入れとテロとの狭間で 

(パリ=飛田正夫)31日、ドイツのケルンで、エルドガン支持の5000人規模のデモ集会が起こった。トルコの赤い旗をなびかせて、エルドガンの勝利と自由の勇士を讃える横断幕を持って、「我々はドイツにいる」「アラーの神は偉大だ」と叫んだ。集会の少し前には、トルコ政府がビデオでケルンの集会に介入することを、ドイツ議会が禁止したことで、トルコ政府は怒っていた。しかし集会では、イスラム保守派のメッセージは読み上げられたという。前日30日にはベルリンで800人程が、メルケル独首相の難民受け入れ政策を続行するという宣言を直接批判する極右翼系のデモがあった。メルケル独首相にとっては、国内には相次ぐテロリスト事件の勃発と反イスラム主義が強まる中で首相退陣の批判も出てきている。イスラム教徒やトルコ移民は、メルケル独首相にとって、トロイの木馬のような事件になるかもしれない。トルコ大統領エルドガンが、軍事クーデター失敗での捕虜の取り扱いで、拷問や非人間的取り扱いの粛清が批判されている中で起こったトルコ移民たちの集会だけに、イツ政府は神経をとがらせている。メルケル首相の勇気と慎重さが問われている。


31日のケルンの集会では、エルドガン政府転覆を狙った7月中旬の軍事クーデター失敗で、軍人等270人が死亡したことに、1分間の黙祷を捧げている。集会の呼び掛け人はトルコ体制支持派のトルコ民主主義欧州連合(UETD)。同時にケルン市内では、250人程のイスラム教徒嫌いの人々が集会している。

6月にドイツ議会が1915年のオットマン帝国下でアルメニア人大虐殺を認めた直後からドイツとの関係に緊張が高まっていた。トルコの外交官は10月ごろまでに欧州国境をトルコ人に開放しなければ、欧州共同体側との間で決めた難民受け入れ合意は取り下げると脅している。ドイツは2015年には難民受け入れを100万人以上している。

7月中旬の軍事クーデターの後には、エルドガンは前もって準備していたのか1400人の軍人をすぐさま解任している。市民に圧力をかけ大学や学校を封鎖し政府に反対する危険性のある者を拘置して粛清している。放送局やジャーナリストや教師が逮捕されている。最高軍事審議会と憲法改正をするために、新たに民間の大臣を任命して、直接に軍隊の長官を監視・統制できるようにした。エルドガン体制の拘置所の中では拷問や強姦など人権違反の行為が起きていると国際人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルなどがエルドガン大統領を批判している。


(文字数⇨1073)(最終変更時間=日本時間⇨2016/08/01午後4時17分)

【参考記事】
«Merkel Démission» : manifestation de grande ampleur contre la politique migratoire en Allemagne

http://fr.euronews.com/2016/07/31/allemagne-les-allies-de-merkel-l-attaquent-sur-sa-politique-d-accueil-des

http://www.ladepeche.fr/article/2016/07/31/2393867-allemagne-manifestation-pro-erdogan-sous-tension.html
https://francais.rt.com/international/24574-merkel-demission-manifestation-berlin
http://fr.euronews.com/2016/07/31/allemagne-les-allies-de-merkel-l-attaquent-sur-sa-politique-d-accueil-des
http://www.ouest-france.fr/europe/allemagne/allemagne-manifestation-pro-erdogan-sous-haute-tension-4396432