2015年4月2日木曜日

本当にサルコジは仏国民に人気があるのか?メディアの作った幻想を追ってみた

世の中の不思議にフランスの前大統領のサルコジがなぜいまだに人気があるかのように思われているのかということを考えることは大事なことだと思う。これに関し何故なのかと質問された方もいる。この記事を書いた翌日(4月1日)にはサルコジはUMP事務総長ジェローム・ラヴリヨウ( Lavrilleux)により2012年のサルコジ選挙運動副責でもあった彼に2014年5月26日のBFMテレビでその二重帳簿と架空選挙会場使用費用で誤魔化していたことが暴露された。その判決が今日話題になった。サルコジはこの事件の証人に置かれたためにいつでも裁判所の要請で出廷しなければならなくなった。


サルコジは内相から首相を経験しないで大統領になった。今のオランド大統領の連れ合いだったセゴレーヌ・ロワイヤルさんに勝って2007年に大統領になった。しかしこの選挙にはリビアのカダフィ資金が廻っていたり、パキスタンへのアゴスタ潜水艦やサウジアラビアへの戦艦売り込みで賄賂が使われていた。

この賄賂には仲介役の武器商人から還流コミッションが当時のシラク大統領の政敵だったバラデュー首相に流れていたとされる。そのバラデューの大統領選挙のスポークスマンがサルコジ財務相で、パキスタンへの武器売り込みに調印していたわけで、コミッションがサルコジ側近らによって現金でスイスの銀行から何度もパリに運ばれていた。世界的に有名なロレアル化粧品の社長ベッタンクール婦人の精神的虚弱を狙ったサルコジの大統領選挙への資金調達を現金でうけとったとされるブルト元財務長官らの疑惑の裁判が未だ終わってない。

当時は経済相で今は国際通貨基金の総裁をしているクリ スチャン・ルガルドがスポーツ用品会社社長のベルナール・タピの損害賠償要求でクレディ・リヨネ国立銀行との係争を、私設裁判を組織化してタピに有利な判決をした権力関与疑惑の裁判が続いている。この巨額な罰金は国の税金で支払われた。この私設裁判を経済相ルガルドが許可したのをサルコジは知っていたはずだ。汚い金がサルコジの周辺には渦巻いている。

前の警視総監でその後内相になったサルコジの長年の友人ゲアンもリビア資金の回収役ではないかと見られている。異常な資金がゲアンのスイス口座に発見されている。このような疑惑だらけのサルコジがなぜ今も存在しているのか問いいう問題ですが。一見それはまったく不思議なのです。しかし良く見てる人はいるもので、前述の高齢者なども気づいているわけです。どこか変だと。国営テレビの局長などがサルコジ大統領から任命されたりした。多くのジャーナリストがサルコジにつきました。フランスにはニコラ・サルコジのようにニコラという名前しかないかのように、毎日ニコラ、ニコラとラジオ・テレビは叫んでいるのです。


どういうことかというと統計など取らなくてもラジオフランスアンフォを聞いていればそれはそれは一回の二ユースに何回もニコラの名前がでてくるのです。まったく不思議なのです。テレビでは数十人しか人が集まっていなくておカメラのアングルで大勢の人が集会したように見えるのです。

やってもいない講演会を何度もやったようにして設営や会場費にかかったとして偽の経費落としをしてしかも二重帳簿をつけていた。これがビグマリオン事件で、サルコジ支持のUMP党の事務総長でかつサルコジの2012年の仏大統領選挙運動の副責であったジェローム・ラヴリヨウが、オランドとの決戦投票直前の5月26日にBFMテレて、二重帳簿を暴露した。

このことでジャン・フランソワ・コッペ前議長は辞任した。それでサルコが選挙に負けて、国民運動連合(UMP)の議長になっている

右派にはサルコジのような人間が多いために人気があるのだが、最近は党内でも人気はジュペ前首相で現ボルドー市長のほうが支持されている。しかしサルコジには金と従来の取り巻きが以前としてメディアや裁判所にいるために、なかなか決定的な負を決められないでいるようだ。

しかしこれらはメディアの作った幻想でしかなく心ある人が多くなって信用も崩れているということです。これまでにフランスの大統領で負けて次回に勝った大統領はいないというジンクスがるのです。たいたい移民の子弟を指して再犯の場合には国籍を剥奪するとか、大学でもベールを被ることは許さないとか言い出して反イスラムを宣言していることが人種差別的な思想で、これを基本的にはフランス人は嫌うのです。

フランス人は今回の県議会選挙でも非常に増加すると見られたマリーヌ・ルペンの極右派系フロンナショナル(国民戦線FN)も支持者がほとんどなかった。そういう平衡感覚がフランス人鋭いものがあるのです。日本と同じドイツ・ナチスの独裁と戦ったレジスタンスとか自由というものの重みをみんなそれなりに意識しているからです。その意味で今回の県議会選挙は右派のサルコジが勝利したのではないのです。

フランス人には受け皿となる清潔な信頼できる右派が他になかったということでしょう。もうひとつはメディアのつくった幻想で政治ができるということです。2007年にサルコジが大統領に当選したときに、フランスの主な政治記者を地中海のカマルグの平原に招待し大盤振る舞いをした。そして荷馬車にカメラマンやジャーナリストを山積みして、サルコジ自身は白馬にまたがって、カーボイよろしく縄を輪にして振り回し、あちこちと引き回したのです。

その哀れなジャーナリストの姿は今でも笑い種になっている。この時にフランスのジャーナリズムの危機を自覚した新聞社も少なからずあったのです。ですから、サルコジの政治生命は終わったのですが、それが続いているように見せかける幻想をメディアが演出しているわけです。ビクマリオン事件とはそういうサルコジ舞台の演出の手口がバレタ事件でした。

その手口は黒い金を隠すためであり不正を闇に葬るためである。ある高齢で退職まもない裁判官に、モナコの審議員への天下り推薦を餌にこれと引き換えにサルコジに都合のよいように最高裁判所内部のベッタンクール事件での裁判の動きを探らせようとサルコジとその弁護士ヘルゾーグが携帯電話で相談していたのが警察に録音された事件などから、信用違背や権力乱用、権力関与で告訴されている。

しかし、議員や裁判官や警察までもが、この黒い金を手にしているためになかなか化けの皮ははがされない。権力とはこういうものだとつくづく、日本の安倍のことも思いやられるのです。

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