2014年9月10日水曜日

【コラム】サルコジが次の仏大統領選挙に立候補声明を出せない本当の理由

なぜサルコジ前仏大統領が次の2017年の仏大統領選挙に立候補声明を出せないでいるのかは不思議なことだ。その理由を分析した記事が「西南新聞」に8日掲載された。問題点をえぐる非常に面白い分析記事である。簡単に見てみる。それに大きく3点があるといっている。第一に、サルコジ氏はフランス国民全体には、支持母体である国民運動連合(UMP)党員や右派の人々と同様には、好まれていないということがある。だからメディアが搔き立てて大きく誇張させて見せているのだとしか言いようがない。そのやり方がどうもあるらしいのだ。
▲なぜサルコジは仏大統領選挙候補声明を躊躇したのか

テレビやラジオがこぞってサルコジの人気がフランス全体でも高いような報道をしている。これは国民運動連合(UMP)党内の人気のことである。とはいってもビグマリオン事件以後UMP会員は減少しているので増えてはいない。この党員減少する党内の人気といいうのは狂信的な支持者が多いに決まっているだろう。これをフランス全体の人気にすり替えるという仕掛けがあったという状況認識がまず必要であると考える。本当にサルコジがフランス国民全体に人気があるのであれば、何故に立候補声明が出せないで躊躇しているのかというサルコジ側のジレンマに回答できないであろう。

▲右派のサルコジ援軍機関紙も嘘の世論調査で登場

そうした政治メディアの演出の中で、リベラション紙の暴露した右派のサルコジ援軍機関紙ともいえる週刊誌「バリュー・アクチュエル」が世論調査会社イプソス(Ipsos)の統計だとして、サルコジのみがフランス人の恐れるマリーヌ・ペンの極右派系フロンナショナル(FN)党に2017年の仏大統領選挙では勝利できるのだと、これを引用して嘘をついた事件があった。

この事件では、すぐにサルコジ支持の別の世論調査会社が「バリュー・アクチュエル」の暴露された嘘を側面から覆い隠す支援をして、その数社が世論調査の結果を提出してみせている。そのタイミングの速さといい同穴の狢のような感じがして世論調査であっても科学的に思われないのである。

▲ビグマリオン二重帳簿不明金事件の当事者が次期仏大統領選挙候補に

先週、パリ第八区にあるサルコジ氏の弁護士事務所でボルドー市長のアラン・ジュッペ元首相が会っている。このときの模様はほとんど報道がされていない。ジュッペ市の地元紙である「西南新聞」の別の記事によると、対立候補があることはいいことだとジュッペはサルコジに意見を述べていたという。

国民運動連合(UMP)党内でのサルコジの競争相手となったジュッペの人気上昇が止まらないという。これはサルコジよりも信頼されているということらしい。

2012年のサルコジ候補の大統領選挙運動資金の二重帳簿請求書偽造事件が党内幹部からの内部告発がグマリオン事件で、これにより辞任に追いこまれたコッペUMP前議長だが辞任後の沈黙を破って突然に、サルコジの次期仏大統領選挙候補者支持を党員に呼びかけた。このビグマリオン違法事件の当事者であるコッペ前議長がその一番の責任者であるはずのサルコジ自身を2017年の大統領候補として応援支持するということは、全く常識外であって考えにくいことである。
悪者に褒められて喜んでいる者とは何なのか?この意味を理解しないのだろうか。現在、UMP議員の内部に数は少ないが二重請求書事件で不明になった巨額な金がどこに行ってしまったのか鮮明にせよとの意見がでている。これも詳しくは報道はされないでいる。

▲体制メディアが奉仕しても勝てないサルコジ

フランスの体制メディアのジャーナリズムが声を大にしてサルコジの人気を作り出そうとして煽動報道をしている。真実がメディアや政治家によって隠されて改変され、世論形成が転倒してきているおそるべき危険な状態にあるとしかいいようがない現状だ。

嘘偽の世論調査を使ったバリュー・アクチュエル誌が喧伝した主張とは異なって、実際には一般に考えられているように、第一次投票ではマリー・ル・ペンの極右派系フロンナショナル(FN)党のN票はサルコジには来ない。つまりサルコジは、第二次投票選に出て、そこでFNと戦って間違いなく勝てるというほどの候補者の位置にいないのである。つまりサルコジは第二次選に出られないということだ。それに比べサントリストのジュッペのほうが集票能力があるとされている。

▲サルコジにのしかかる障害物

サルコジというと多くの事件がイメージされるという不利がある。大きな犯罪事件の名前だけ挙げてもサルコジと悪いイメージが結びつくことが彷彿されて聞こえがよくないのである。

-リビアの独裁者カダフィからの政治資金受け取り事件。-リビア空爆。
-高齢の精神的薄弱者ベッタンクール婦人からの政治資金の現金受け取り事件。
-サルコジ大統領選挙運動資金のUMP二重帳簿申告が内部告発されたビグマリオン事件。
-カラチへの武器販売還流コミッション事件では起訴された元首相の財務大臣をしていた。
-起訴されたラガルド国際通貨基金(IMF)総裁の蔵相で、タピ私設裁判組織化の優遇事件。
-味ベール判事とヘルゾーグ弁護士を使っての裁判所機密情報盗用事件。

これらが主にサルコジ氏と大きく関係する疑惑事件であり、今にも大爆発が予想されている。これらの障害物を取り払うことができないからである。これらの疑惑がのしかかるサルコジ氏の動きは重くなるのは当然だ。しかし体制メディアはまるで何もなかったかのように報道しだしている。

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